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嘘やろ!?
第13章 新学期
約束通りに焼肉屋の海の家に連れて行ってくれる。
昼過ぎまで透と海で遊んだ。
子供みたいな時間を透と過ごす。
やっぱり透が若いと感じる。
普段は大人びているくせに、今日はモロに私よりも若いとわかる顔をする。
オバハンやな。
自分の年齢が気になってまう。
いくら透に可愛いとか言われても海でほんまに若い女の子は私とはちゃうと感じる。
これで乳とか垂れて来たら絶対に透と海になんか来られへんわ。
また、ため息が出た。
「朱音…、やばいから戻るぞ。」
透がそう言ってビーチチェアを海の家に返して旅館の方へと向かう。
「何が?」
「天気…。」
さっきまで明るかったビーチが一気に暗くなる。
マジか?
旅館のプールサイドまで戻った瞬間…。
ドーンッ!
と花火を上げるような音がする。
「ゲリラが来る。」
透が空を見上げると大粒の雨が地面を叩きつけるように降り出した。
「ヒィィッ!?」
稲妻が光り、凄まじい音を鳴らしながら海に電気の柱が立つのが見える。
涙が出る。
昔から雷が怖くて苦手だ。
「怖いんか?」
不思議そうに透が私を見る。
プールサイドの屋根のあるエリアに次々と人が逃げ込んで来るから、透に抱えられたままあっという間に隅まで追いやられてた。
「無理…、雷だけは無理…。」
透にしがみついて泣いてまう。
凄い雨の音と雷の音だけがずっと鳴り響く。
「大丈夫やて…。」
透の声が耳元でする。
しっかりと私を抱きしめて怖いものはないんやと透が髪を撫でて来る。
透の心臓の音がする。
私の耳を胸に付けて反対側の耳を透が手で塞ぐ。
雨の音も雷の音もしなくなる。
目を閉じると透と2人だけの世界になった気がした。