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嘘やろ!?
第13章 新学期



透が指先でテーブルに見えない地図を書く。


「ここが白浜、那智は新宮の向こうで山越えの道がないから田辺に引き返して新宮越えをするか、最南端の串本越えでひたすら海岸沿いを走るんやぞ。」


そう言われてもちんぷんかんぷんな私…。


「無理なんか?」

「無理やない…、ずっと車の移動やからしんどいのは覚悟しろ言うてんねん。」


コクコクと頷いた。

せっかくだからと本州最南端を目指す事にした。

ただ海沿いの道を透の車が走る。


「なぁ…、夕べの歌って誰の歌?」


そう聞いたら透が赤い顔をする。


「親父の歌…、俺もよく知らんけど小さい時に親父がよく歌ってくれた歌や。」


透がゆっくりとその歌を歌ってくれる。

英語の歌詞…。

2人で夢を追うとか未来に手を伸ばすとかいう歌詞だった。



だからこの世界から連れ出して欲しい。

僕達が永遠の存在であり続ける為に…。




優しい歌声で透が歌う。

多分、バラード…。

聞いてると気持ちが良くて欠伸が出る。


「人に運転させといて寝んなよ。」


透が運転をしながら鼻を摘んで来る。


「だって、その歌、眠なるわ。」

「そやろ?俺も親父の歌声でよう寝てたわ。」


要するに透用の遼さんの子守り唄だったのかと納得をする。


「変わった子守り唄やな…。」

「クソ親父やからな。」


遼さんを尊敬してた透が間違いなく居たと感じる。

小さい頃は遼さんだけを追いかけ続けた透…。

今はもう1人前なんだと遼さんに認めて貰いたがってるようにも見える。

串本で最南端という場所を見た。

ここが本州の最南端という標識だけで何も無かった。

目の前に太平洋が広がる景色だけ…。


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