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嘘やろ!?
第13章 新学期
「これだけか?」
「向こうに水族館と遊覧船があるけど、那智に行くんやから寄り道してる余裕はないぞ。」
透がまた呆れた顔をする。
「那智は行く…。世界遺産やもん…。」
その程度の知識はある。
「なら行くぞ。」
透が笑って私を連れてってくれる。
遼さんの子守り唄のように透が私を知らない世界へと連れ出してくれる感覚がする。
僕達が永遠の存在であり続ける為に…。
そんな存在になれるかはわからん。
それでも透とそういう関係をいつかは築きたいと思う気持ちだけは強くなる。
車はひた走り約100kmを2時間掛けて那智まで辿り着いた。
「うぉっ!?これが世界遺産か!?」
そう叫ぶ私から離れて透が他人のフリをしようとしよる。
「なんやねん?」
「さすがに恥ずかしいぞ…。」
「何が?」
「お前…、自分が目立つってわかってんのか?」
意味がわからん。
ふと見渡すと周りの人が結構こっちを見てクスクスと笑ってる。
「目立つのは透や…。」
「いや、朱音が目立つ。海でも朱音を見てる男が多かったし、うちの店で初めて見た時もすぐに朱音ってわかったからな。」
私の肩を抱いて透が歩き出す。
滝壺から階段を上り滝全体が見渡せる場所へと移動をする。
神社の一部になる滝。
自然と人工物の調和にちょっとした感動を覚える。
しばらくは滝に見とれてた。
「まだ見るか?」
透が私の頭を撫でて聞いて来る。
「人の手が入ってんのに…、滝の雄大さはそのままなんやな。」
なんとなくそんな事を言った。
「ある意味、科学が為せる技やな。」
透が静かに言う。