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嘘やろ!?
第13章 新学期
教師である私ですら学校に行かんと透の部屋で透の帰りを待ちたいとか考えんのに、子供達が我慢をして学校に来てる事自体を褒めてやるべきだと思う。
ただ、そんな事を一言でも言えば
「学生を甘やかせば社会不適合者を卒業させる事になるだけです。」
と偉そうに言われるだけやから黙ってるに限ると考えてまう。
いつから長いものに巻かれるという体制になったんだろうとかつまらない事を考えた。
昔の科学者は偉かった…。
ちゃんと宗教社会に逆らって科学の追求を諦めなかったのだから…。
「楠木先生はなんや楽しそうやね?」
同期の音楽教員である村上先生に話し掛けられた。
彼女とはそれなりに話をする。
ただ、ほとんどを音楽室で過ごす彼女とは廊下で会った時くらいしか話をするタイミングがない。
「そんな風に見えます?」
「うん、なんか日焼けして前よりも健康的な顔になってるから夏休みはええ事があったんかと思うよ。」
「かもしれませんね…。」
少しだけ思わせぶりな笑顔を見せてまう。
透の事をバラす訳にはいかなくても私自身が幸せなんだという部分は人にわかって欲しいという素振りが出てた。
「羨ましい…。今度、詳しく聞かせて下さいね。」
儀礼の言葉だとわかってんのにドキリとする。
話は出来んよね?
あはは…。
苦笑いをして村上先生と別れてから戸締りの為に教室へと向かった。
「Really?(ほんま?)」
「Ah…,I promise you.(ああ…、約束したる。)」
そんな英会話が聞こえる。
楽しそうな笑い声…。
何?
なんの約束?
教室の扉を開けると透が笑ってる。
透の目の前にはうっとりとした顔で透を見ている園田さんが居た。
「まだ居たの?」
教師として、そんな言葉を彼らに掛けてた。