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嘘やろ!?
第14章 体育祭のヒーロー
ほんまはわかっとる。
遼さんを意識してる透は私よりも若いという事実を私以上に気にしてる。
だから、わざと私を可愛い言うて子供扱いをする。
そうすれば透に釣り合うと私に思わせる事が出来る。
でもな…、透…。
現実は違うねん。
間違いなく私は7歳も年上のオバハンやねん。
教師という隔たりを常に持って接する事しか許されへん大人やねん。
その怒りが込み上げて透に向かって暴言を吐く。
「子供にはわからん部分が色々とあんねん。これが遼さんやったらいちいち言わんでもわかってくれるんやけどな。」
一番言ってはいけない言葉で透を傷つける道を突き進む。
学生同士で当然のように透に寄り添う園田さんにムカついてた。
それを笑ってサラリと受け流す大人の態度の透にもっとムカついた。
私はただの駄々っ子…。
見苦しいオバハンの駄々っ子…。
透に相応しくない女やから、見知らぬ女の子達が透を見てキャーキャーと言う。
泣きそうになる私を透が抱きしめる。
雑貨屋に居た他のお客が何事かと好奇心の眼差しを私と透に向けて来る。
「そうやな…、俺は親父には勝たれへんよ。それでも親父に朱音を譲るつもりはない。俺の朱音やからな。歳なんか関係ない。男としてそれだけは絶対に譲られへんいうだけや。」
透が切羽詰まった声を出す。
「止めろ!恥ずかしいわ。」
「俺は恥ずかしくない。朱音を俺の女やって世界中に自慢が出来るんやったら学校も今すぐ辞めたるって言うたやろ?」
相変わらずの涼しい顔でそんな事をサラッと言う透に慌てるしかない。
「辞めるのは許されへん。」
「わかってる。だから後5ヵ月は我慢したる。」
透が手を繋いで歩き出す。
絶対に私だけなんやと念を押すように透が振る舞う。
透に駄々っ子になる自分が一番恥ずかしかった。