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嘘やろ!?
第14章 体育祭のヒーロー
開いた口が塞がらないとはこういう事かと思った。
「やあ、楠木先生。いつも息子がお世話になっております。」
金髪にピアス…。
ブランドスーツに革靴…。
しかも同じようにスーツを着た公平君と渚君を従えた遼さんが私に頭を下げて来る。
中野先生が私の脇腹を肘でつつく。
「どなたの保護者ですか?」
「吉岡君のお父さんです…。」
中野先生が目を見開く。
とてもじゃないけど透のように大きな息子が居る年齢には見えない遼さん…。
公平君達は間違いなく20代だから高校生の保護者というには無理がある。
ただ、他のお母さん方には良い意味で注目の的になってる。
突如現れたイケメン集団。
間違いなく目の保養…。
「まるでホストですな。」
中野先生がそんな嫌味を言う。
「ちょっと失礼します。」
中野先生と離れて遼さんだけをグランドの隅へと呼ぶ。
「何しに来たんですか!?」
「えっ?保護者やから来てええんやろ?」
「そりゃ、そうですけど…。」
「あのアホ息子、朱音ちゃんに無理矢理に走らされるって愚痴ってたから冷やかしに来たってん。」
遼さんがやたらと嬉しそうにニヤニヤとする。
ほんまにただの嫌がらせや…。
ため息が出る。
「来週は朱音ちゃんも来るんやろ?」
遼さんが聞いて来る。
来週は連休…。
遼さんのBarの慰安旅行の事だ。
体育祭とその慰安旅行が連続するから最近は透の機嫌が悪い。
「その話は今夜に…。」
明日が振り替え休日だから今夜はBarに顔を出す予定になってる。
とりあえず透を呼びに教室へ向かわなければならない。
遼さんが来てるってわかったら透は走ってくれないかも?
勘弁してよーっ!
叫びたい気持ちを押さえて教室を覗いてみた。