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嘘やろ!?
第14章 体育祭のヒーロー



いつもの席で今日はジャージ姿のままの透が大人しく眠ってる。


「起きや…。」


透の頭を撫でて起す。


「キスしてくれたら起きたる。」

「あほ…、てか、遼さんが来とる。」

「何!?」


透が驚愕の顔で飛び起きる。


「クソ親父…、何しに来てん?」

「透を笑う為…。」

「殺す!」


そんな話をしてる場合じゃない。


「なぁ…、透…。」

「なんや?」

「私の頼みなら聞いてくれるんやな?」

「ああ…。」

「なら、マジで走って…、優勝するかもしれんから。」

「マジか!?」

「うん…。」


ありったけの笑顔を透に向けてた。

しばらく透は嫌な顔をする。


「ええよ。」


透が息を吐きながらそう言う。


「ほんま?」

「その代わり…。」


ふわりと透が抱きついて来る。


「今夜は寝かさんからな…。」


耳元で囁く。

わかっとる。

そう返事をする前に身体が固まった。

透の肩の向こう…。

教室の扉の向こうに園田さんが見える。

唇を震わせて私を睨む園田さんが般若のように見えた。


「寝ぼけてんのか?吉岡君!」


そう言って透を突き飛ばす。

透もすぐに園田さんに気付く。

チッ…。

小さな舌打ちが聞こえる。


「競技に出ればええんやろ?」


ぶっきらぼうな態度に変わって透が教室から出て行く。

私も透を追いかけるようにして教室を出た。


「透君を誘惑するとか…、大人って汚いわ。」


園田さんの口からそんな言葉が聞こえる。


「そんな事は…。」


慌ててまう。


「頭がええのをひけらかして、そんな大人にだけはなりたくないし…。」


そう言うた園田さんも立ち去った。


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