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嘘やろ!?
第14章 体育祭のヒーロー
嘘やろ!?
最悪や…。
よりにもよって…。
泣きたくなる。
泣いてる場合ちゃうし…。
グランドに出る。
クラス対抗リレーが始まった。
クラス代表が5人走る。
一番得点が高い競技だから1着なら間違いなくうちのクラスが優勝をする。
スタートは2番手辺りをキープする走りだった。
だけど第三走者がバトンを落とす。
順位が一気に最下位になった。
トップとは半周差が出る。
クラスからは一気に諦めムードが漂う。
第四走者までは半周…。
アンカーは1周半…。
透にバトンが回った瞬間…。
「クソガキ!負けたらシバくぞ!」
はしたない声援が保護者席から飛んで来る。
遼さん…、止めてぇや。
頭が痛くなって俯いた。
うおおぁぁぁ!?
揺れるような歓声が上がる。
まさに大歓声…。
顔を上げた瞬間、透が2人を牛蒡抜きする姿が見える。
マジなんや…。
約束を果たしてくれるんや。
目頭が熱くなるけど泣いてる場合じゃない。
クラス中が
「吉岡っ!行けーっ!」
と叫んでる。
ゴール手前のコーナーで透がトップと並んだ。
行けや…。
負けたら許さへんからな。
私の声が届いたかはわからん。
間違いなく透がゴールの白いテープを身体に巻き付けてる姿を確認した。
ありがとう…。
ただ、ひたすら透に感謝をして頭を下げてた。
教師として誇れる日をくれて、ほんまにありがとう…。
私との約束を果たしてくれた体育祭のヒーローはグランドの真ん中で手足を広げて仰向けに倒れてる。
クラスの全員が透に駆け寄ってるのを見た。
「ほな、帰るわ。」
遼さんが私の肩を叩いて立ち去る。
クールな透が僅かでも熱くなった瞬間に遼さんは満足をしたような顔だった。