この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
嘘やろ!?
第15章 シェルター
「失礼します…。」
学園長室の扉をノックする。
「どうぞ…。」
とくぐもった声がして中へと入る。
如何にも学園長用ですという立派な机の向こうの窓の前にグレーの落ち着いたスーツを着たスマートな男の人が立ってる。
「やぁ、楠木先生、お久しぶりです。」
爽やかな笑顔。
学園長としてはかなり若いと言える男の人。
34…、35歳…くらいだったかな?
確か10年程度だけ教壇に立ち、学園長になった人。
姉妹校の学園長が彼の父親だから当たり前と言えば当たり前の役職。
私立学校を経営する一族の1人。
梶谷 稔(みのる)学園長…。
仏のような顔。
常にニコニコとしてて、この人が声を荒らげるとか想像がつかない。
「お掛けになって下さい。」
そう言った学園長の指示に従い応接用のソファーに座る。
学園長の机の上にある電話を使った学園長が副学園長を呼び出してる。
何事…?
嫌な予感しかしない。
「楠木先生のクラスの吉岡君…、体育祭では凄かったですね。」
学園長がニコニコとして世間話を始める。
すぐに副学園長が来た。
「お話は?」
「今からです。体育祭の吉岡君が凄かったと言ってたところですよ。」
副学園長は微妙な顔をして学園長はまだニコニコのまま…。
話とは透の事だ…。
変に身構えてまうわ。
「楠木先生…、体育祭で何があったか話をして頂けますか?」
副学園長が話を切り出した。
「何があったかと言われますと?」
一応、とぼけて聞き返す。
「誠に申し訳のない話ですが…、楠木先生が体育祭で誰も居ない教室で男子生徒を抱きしめていたという通報が保護者の方からありました。」
副学園長の言葉は私を叱責するような言い方に変わってた。