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嘘やろ!?
第15章 シェルター
「朱音の望むようにしたるわ…。」
そう言って透が私から離れた。
ちょっとの辛抱やん。
普通に次の週末には透の部屋に行くんやし。
そう思って自分を誤魔化した。
土曜日は祝日…。
今頃透は遼さん達と慰安旅行…。
今夜は鳥取に泊まって明日に帰って来たら、そのまま店で働くというハードスケジュールのはず。
透の身体を心配しつつ、私は学園長との待ち合わせの為に学校の前へと向かう。
車のクラクションが鳴る。
「乗って下さい。」
紺色の高級車…。
エンブレムには丸が4つ連なってる。
やばい…。
仏様が高級車に乗ってんで…。
今日の学園長はモスグリーンのざっくりと編まれたセーターにスラックス。
随分とカジュアルな学園長は初めて見る。
学園長の呼び出しだからと学校用のスーツを着て来たから不釣り合いに感じる。
「もっと気楽な格好で良かったんですよ。」
そう言って学園長が車を走らせる。
「はぁ…。」
だって学園長の呼び出しやで?
緊張して当たり前やん。
ガチガチのまま学園長の車に乗り続ける。
「楠木先生って…、意外と無口ですね。」
ニコニコと笑顔を絶やさずに学園長が言う。
「意外と口が悪いんです。」
「そうなんですか?」
「生徒と話す時なんかタメ口になるから、困ってるんですよ。」
「羨ましい…。僕は生徒と話をしたくても学園長だからと避けられてばかりですよ。」
ふふっと笑った学園長が可愛く見えた。
少年のような顔。
ほんまに生徒達が好きなんやなと思う。
「あぁ…、着いた。」
学園長が車を停める。
「ここ…?」
思わず驚愕をする。
「はい、ここに来たかったんです。」
学園長は仏の顔のまま、目の前にある建物を見上げた。