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嘘やろ!?
第15章 シェルター
幼稚園くらいの大きさの建物。
その向こうには小さなグランド。
そのグランドで遊んで居た子供達が数人寄って来る。
「梶谷先生!来てくれたん?」
「毎月、来てるやろ?」
「この人は先生の恋人?」
「違う違う!先生の学校の先生や!」
「この人も先生?」
子供達の嵐のような質問に学園長がニコニコと順番に答える。
「ここ…。」
「施設です…。子供達は避難をして来た子供達ばかりです…。」
学園長が初めて仏の顔を歪めた。
ここはシェルターと呼ばれる施設…。
親に虐待を受けたと判断をされた子供達が集まる場所…。
「学園長…。」
「月に一度、その月に生まれた子供達の誕生日会をやるんです。」
「誕生日会?」
「はい、祝ってあげて貰えませんか?子供達の為に…、自分達が生まれて来たのは間違いじゃなかったんだと教えてあげて欲しいんです。」
学園長はその為だけに毎月この施設に来てると言う。
ほんまは学園長の学校に、この子供達を受け入れてやりたいけど私立学校は予算的に無理だからと子供達は公立の学校にしか行けない。
だけど親からまともに学校へ通わせて貰えてなかった子供達はなかなか普通に学校へも馴染めない。
「うちの学園の子供達に自分達がどれだけ恵まれてるのかを理解して欲しいと思うんです。普通に学校に通えるという幸せをわかって欲しいと僕は毎日のように思ってます。」
学園長の言葉が重かった。
私の為にすぐに学校を辞めると口走る透はまだまだ子供なんやと再認識をする。
食堂と思われる部屋で誕生日会が行われる。
ケーキが配達される。
注文をしたのは学園長らしい。
毎月、毎月、子供達の為にケーキを配達して貰う学園長を教師として誇らしいと感じる。