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嘘やろ!?
第16章 信頼



施設には新しい子が居た。

まだ5歳。

女の子…。

なのに髪が抜かれて10円ハゲが出来てる。

瞼も青アザが出来て腫れ上がってる。


「ケーキ…、食べる?」


その子に学園長が差し入れしてるケーキを差し出してみる。

一言も話さずに虚ろな目で無表情なまま私を真っ直ぐに見る。


「ここに来たばかりで、まだ心が開ける状況じゃないんです。」


施設の職員の人が教えてくれる。

ケーキをスプーンで掬ってその子の口の前まで持っていく。

まるで雛鳥のように機械的にその子が口を開ける。

一口ずつ食べさせる。

無表情なままケーキを食べ続けるその子に涙が出そうになる。

泣いたらあかん。

私は教師なのだから…。

この子達に笑える未来を見せられる教師でなければならないのだから…。

涙を絶対に見せないと笑顔だけを作ってケーキを食べさせた。


「ねぇ、次も来てくれる?」


子供達の1人にそう言われた。


「次は難しいかな?」


私の代わりに学園長が答える。


「次は難しいのですか?」

「12月はクリスマスと合同なんですよ。楠木先生もご予定があるんじゃないのですか?」

「予定は…。」


あると思ってた。

今はもうわからない。


「来月に考えましょう。」


学園長が優しく笑った。

学園長とよくわからないドライブをする。


「ちょっとだけ行きたい場所があるんです。」


そう言った学園長が向かったのは大阪にあるトリックアートの美術館。


「これ…。」

「トリックアートです。ご存知でしたか?」


学園長の笑顔に胸が痛くなる。

透が来たいと言うてた美術館。

学校を卒業したら来ようと約束をした美術館。

何故か私は仏の学園長と来てしまった。


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