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嘘やろ!?
第16章 信頼
「その人を笑顔に出来た時に私は初めて教師として1人の女として1人前になれる気がするんです。だからそれまではその人の笑顔だけの為に時間を使いたいんです。」
私の話に学園長がうんうんと頷いてくれる。
「楠木先生ならきっと笑顔に出来ます。貴女の笑顔は誰よりも美しいと僕は思います。」
うわっ!?
学園長!?
臭いで?
その台詞…。
いつものように仏の顔でニコニコとする学園長から、ちょっと引いた。
シェルターで副学園長と合流をした。
「副学園長がここをご存知なのは驚きました。」
「元々、私がずっと通ってたのです。若い先生方で生徒への接し方に迷った先生をここに連れて来るとどんな先生でも迷いを失くしますから…。」
「まさか…、学園長も?」
「そうです。学園長になってすぐにここにお連れしたのです。」
若くして学園長になったから迷ってばかりだった学園長を年配の副学園長が支えた。
年上というのは悪くない。
迷った時には若い相手を導く事が出来るのだから…。
様々な事が私の中で消化されてく。
子供達と過ごすクリスマス。
悪くない時間だけど、その時間を透に全て与えたいと強く感じる。
エゴかもしれない。
だけど恋愛はエゴだ。
ストーカーにまでなろうとは思わない。
ただ、まだ透に私を受け入れる部分が少しでもあるなら、私はそれに賭けてみよう。
そう思うクリスマスだった。
夕食は副学園長と学園長の3人で食べた。
順番に学園長が送ってくれる。
帰ればまた私は歌う。
透…。
いつか2人でこの世界から抜け出そうよ。
その時は間違いなく透に愛してるを伝えてあげるから。
勝手な妄想の透に抱かれて眠る。
透が居ないと生きていけないと思う自分が嫌いじゃなかった。