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嘘やろ!?
第18章 受験日
そんな2月を過ごす毎日…。
バレンタインデーなんかキスをするだけで精一杯。
だから透の部屋には中途半端にしか行けずに、とうとう透の受験日がやって来る。
幸いだったのは日曜日という事。
「受験票は?」
「ある。」
「筆記用具は?」
「ある。」
「携帯やけど…。」
「オカンかっ!お前はっ!」
試験前の透をキレさせた…。
駅前まで送るという約束で結局は試験会場までついて来た私を透が呆れてる。
「部屋で待っとけ。帰りは頼む…。」
透はそれだけを言うと私に背を向ける。
部屋で…。
1人で…。
待ってられんかも?
透なら大丈夫…。
わかっとっても落ち着かへん。
「こんな所まで…。」
怒りに満ちた声がする。
透に背を向けてゆっくりと声に向かって振り返る。
「園田さん…。」
何故、彼女がここに…?
「先生が居るって事は透君も当然居るんですよね?」
問い詰めるような言い方…。
「吉岡君が受験をする事を知ってたん…?」
驚愕するしかなかった。
「当然でしょ?透君から聞いてたもん。」
私とは違い園田さんは勝ち誇った顔をする。
「受験が終わったら彼の気持ちを聞かせてくれる約束なんだから…。」
園田さんが真っ直ぐに受験会場を見てる。
「受験が終わったら?」
声が震えた。
透…。
ストーカーが多過ぎへんか?
「そう…、先生は帰るわ。」
「どうぞ…、透君なら合格は間違いないんやから、先生はもう来なくてええですよ。」
強気の園田さんに苦笑いをする。
父親の知り合いの会社に就職をしたとか中野先生が言うてた。
工場の作業員…。
過保護に育った彼女に出来る仕事はその程度だろうと言う中野先生の言い方に少し嫌な気分がした。
だから彼女は透に依存する。
彼女も透にこの世界から連れ出して欲しいのだと願った子だと思った。