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嘘やろ!?
第19章 すってんてん
「楠木先生…。」
声を掛けられる。
「学園長…、お疲れ様です。」
儀礼で頭を下げる。
「あの…、誠に言い難いのですが…。」
学園長が改まる。
嫌な予感しかしない。
「はい?」
「今日はさすがにご予定がありますよね?」
「ええ…。」
「父から楠木先生を食事に招待をしろと言われてまして…。」
もぞもぞとして情けない顔で学園長が私の様子を伺うように言う。
この人…、ほんまに女性に慣れてない人なんやな。
なんとなく笑っちゃう。
「おかしいですか?」
アタフタする学園長を可愛いと思う。
教師として上司としては尊敬をしてる。
「いいえ、梶谷先生のお誘いですか?」
「この前…、下さったチョコレートのお返しを…。」
仏の学園長が赤い顔で必死に説明をする。
透以外に父と梶谷先生にチョコレートを送った。
梶谷先生だけという訳にはいかんやろうと学園長の分も同封をした。
「お気になさらずとも…。」
「いえ、僕が父に怒られるんです…。」
梶谷先生はそういう方だ。
困ったな…。
軽い気持ちで送った義理チョコレート…。
日頃、お世話になってます程度で透の分を買ったついでに送っただけだった。
「いずれまた梶谷先生には御挨拶に伺いますとだけお伝え下さい。」
とりあえずは無難に答えて学園長から離れた。
約束の時間…。
急いで校門の方へ向かう。
透の車が見える。
すぐに車に乗り込む。
「行こか…。」
透が車を走らせる。
「どこに?」
「店…、予約しとる。今日は朱音の誕生日やろ?」
心臓が止まりそうになった。