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嘘やろ!?
第19章 すってんてん
いつもの駐車場の100m手前の駐車場に透が車を停める。
「駐車場…、変えたんか?」
「家が変わるからな。」
「何っ!?」
嘘やろ!?
透がそこそこ大きなオートロック付きマンションに入ってく。
家を変えたとか簡単に言うけど…。
ここ、遼さんの賃貸と違って分譲やろ?
エレベーターに乗り込み透が最上階になる12階のボタンを押す。
「中古やけどな。買うたんや。」
透の言葉に耳を疑った。
簡単に買えるんかい!?
「3年分の収入が消えた。」
透が笑う。
しかもキャッシュで買うたんかい!?
透の買い物の感覚に呆れてまう。
ちゃんとした経済観念を教えたるべきか?
しょうもない事を考える間にエレベーターが着き、透が廊下を一番奥に向かう。
小さな門かあり黒いお洒落な玄関扉がある。
透の新しい部屋…。
これから一緒に暮らす部屋…。
いやーん。
ドキドキや。
あかーん!
変な興奮するやん。
私だけがはしゃいでまうのに透は扉の前で立ち止まったまま…。
「もしかしてまだ入られへんの?」
「いや、入っても驚くなよ…。」
透がやっと扉の鍵を開ける。
中に入り透が灯りを点す。
「へ?」
中に進む。
嘘…やろ…。
しばらく呆然としてまう。
「ここ…。」
「一応、荷物は運んで引っ越し済みやからな…。」
フンッと透が鼻を鳴らす。
いやいやいや…。
引っ越し済み?
引っ越し済みって…。
「マジか…?」
「マジや…。」
透が私から目を逸らす。
普段はクールで完璧な透…。
やらかした時でもそのクールを貫こうとする透のつまらんプライドにため息が出てまう。