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嘘やろ!?
第20章 モフモフ
悔しいけど…、学園長の言う通りや。
「失礼します。」
頭を下げて職員室を出る。
Jrが居るという進路指導室へ向かう。
進路指導室には2人の生徒指導の先生が居る。
「すみませんでした。後は私が彼と話をします。」
今はJrと2人になって話をしなければと思う。
その反面、この黒豹と2人になる事に怯えてまう。
ギラギラとした目で私を睨んで来る。
「なあ…、ちょっと触ってええか?」
そんな言葉をJrにいきなりぶつけてた。
「はぁ?」
「その髪を触ってええか聞いてんねん。ドレッドなんてお洒落な髪に触れるチャンスなんかないからな。」
「好きにしろよ…。」
ぶっきらぼうな返事。
ぽふぽふと彼の髪に触ってみる。
「いやん!あかん…、モフモフやん。」
「だから…、なんだよ?」
「モフモフやで?うちのイルカもモフモフやけど、それに近いモフモフやわ。」
「イルカ?」
「こーんな馬鹿でっかいイルカのぬいぐるみ。最初は邪魔なだけとか思ったけど…、今や寝る時のマストアイテムやねん。」
「くだらねぇ…。」
少しだけJrが笑ってくれる。
日本語は通じてる。
寧ろ、彼の入試の成績ではあまり英語は良くなかった印象がある。
明らかに日本人離れをした顔で英語が出来ないという不思議な子…。
「今日の事やけど…。」
私の言葉に黒豹が身構える。
牙を剥こうとする彼に笑顔を普通に向けてやる。
「別に篠原君が悪いとは思ってないよ。」
「教師ってのは皆が同じ事を言うよな?」
「どういう意味?」
「お前が悪いとは思ってない。だから俺を信じろ。けど最後は結局俺が悪いで話を済ますんやろ?」
こういう状況を何度も起こして来た子の慣れた言葉…。
教師はそういうものだと居直ってる。