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嘘やろ!?
第20章 モフモフ



「何でそう思うの?」

「俺の顔…、よく見ろや。日本人に見えるか?二言目には黒人黒人言われて、最後はやっぱり黒人やからなとか言われんねん。ちょっと走れたら黒人やから速くて当たり前とか言われるし…。何をやっても黒人は悪い扱いで終わらされるんや。」


どう言うべきか迷う。

私には、そんな経験がない。

父が教師という事も学生時代は隠して来た。


「学校の先生の子供なら出来て当たり前や。」


私だって、そんな事を言われたくはない。

Jrには隠しようがあらへん。

その顔が間違いなくハーフなんだと物語ってる。

透なら…、なんて答える?

透なら…。


「なら…、勝手にしたらええよ。何度も言うけどアンタの好きにしたらええねん。負け犬になる子なんかの為に必死になるつもりはないし…。」

「お前も結局はそれかよ?」

「何が?アンタが最初に言うたんやろ?教師なんか信用が出来へんて…。アンタが悪いとは思ってないって私は言わんかったか?」


透なら甘ったれるなと突き放す。

自分の運命からは逃げられないとわかってる透は運命を受け入れてジタバタするような見苦しい事は絶対にしなかった。

その結果が寝てるだけの子だった。

どうせ理解されないのだからと世間から自分を切り離す道を選んだ透ならJrに同情なんか見せはしない。

ほんまに助けて欲しいのなら俺に従えという服従を強いるのが透だと思う。

だから私は透のやり方を真似してJrに示す。


「俺が悪くないと出来るんか?」

「さっきも言うた。暴力はまず止めてや。暴力なんかすれば、やっぱり黒人やからってまた言われるだけやで…。」

「お前…、変わってんな?」

「よう言われるわ。」


Jrが笑ってくれるから私も笑う。

余裕を見せなければ黒豹に噛み殺される。


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