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嘘やろ!?
第21章 コミュ英
私の言葉に教室中が不満の顔を見せる。
中学英語もろくに出来ないからこの学園に来たんやという空気が広がる。
「そんなん有利なん黒人だけやん。」
Jrの前に座る斉藤君が溢す。
ガンッ!!
凄い音と共に斉藤君が椅子から転げ落ちる。
Jrがサッカーで鍛えた脚力で斉藤君の椅子を蹴飛ばしたからだ。
「何すんねん!?」
斉藤君がキレた。
「かかって来いや!」
黒豹が吠える。
「はいはい、そこまで!斉藤君は何すんねんを英語に訳して、篠原君は当然、かかって来いやを訳す。」
私の言葉に生徒達は唖然とする。
「はぁ?」
「そんなん無理やんけ…。」
斉藤君とJrが仲良く答える。
「聞いての通りや。ハーフの子でも英語に耳が慣れてないと英会話は有利にはならんねん。」
私の言葉に斉藤君が少し気まづい顔をする。
「なら、ただのチンピラやん。」
どうやら前橋君は一言多いタイプ。
「はい、前橋君はチンピラを訳して。」
前橋君が慌てて口を押さえた。
「まずは斉藤君の言葉から訳すよ。」
斉藤君の何すんねんに近い英語を黒板に書く。
What are you doing!
「なんか見た事ある…。」
内田さんが呟いた。
「うん、その通り。これは中学英語です。つまり中学英語の基礎知識があれば英会話は充分に成り立つと言う事です。」
内田さんが恐る恐ると手を上げる。
「内田さん、どうぞ。」
「なら、高校英語は何をする為の英語ですか?」
「その質問は次の言葉を見て欲しい。」
次はJrの言葉…。
かかって来いや。
Bring it on!
「このbring、中学英語では持って行くと習ったと思います。だけど英会話では命令形で持って来いに変わる為にかかって来いになる。その応用を学ぶのが高校英語となります。」
私の言葉に生徒達がワクワクとし始める。