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嘘やろ!?
第21章 コミュ英
これは梶谷先生のやり方…。
教科書通りでは生徒達が英語に身構えてまう。
僅かでもええから英語に、何よりも授業に興味を持たせるのが重要な事だと私が教わったやり方…。
「因みにチンピラが一番難しい。多分thugs…。だけど先生も自信がないわ。」
「先生も?」
「うん、チンピラはあくまでも日本語の中のスラングの扱いになります。だからthugsは凶悪犯を意味するから言葉としては伝わるけど、ほんまの意味は伝わるかが自信がないの。」
「little付けるとか?」
「うん、それはありかもしれない。」
そろそろ授業の時間が終わる。
「だから、皆んなにはこの1年は耳で出来るだけ英語を覚えて欲しいです。それも出来るだけたくさんの単語を知って欲しいです。皆んなが英語で会話を出来る日を目指したいと思います。今日はここまで…。」
ジャストで終了の鐘が鳴る。
終わった…。
短い授業だった。
なのに充分に満足をしてた。
ノルマで消化して来た授業じゃない。
初めて自分自身の授業をした。
クラス中の子に私の気持ちが伝わったかはわからん。
Jrがどう感じたかもわからん。
それでも何かを感じて欲しかった。
今からでも英語に興味を持てば自分達の未来が少しでも変わる可能性を感じてくれればと思う。
まだまだ始まったばっかりやん。
透とも始まったばかりや。
焦ってこれ以上の馬鹿な事だけは止めよう。
そんな気分で早めに学校を出た。
まずは買い物…。
透の誕生日と入学祝いを兼ねて鞄を買いに行く。
荷物を持ちたがらない透は小さなバッグしか持ってない。
大学はさすがに手ぶらでは通えんやろ?
酷い時は財布すら持たずに剥き出しのお金をポケットに無造作に入れてる透に笑ってまう。