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嘘やろ!?
第24章 大学病院
遼さんの車は北摂地域へと向かう。
都会から離れて閑静でのどかな地域を抜ける。
そして…。
「ここって…。」
「大学病院や。」
慣れたように遼さんが車を駐車場に向ける。
そういや遼さんは昔務めてたんやな。
そんな話を思い出す。
駐車場に透の車があるのが見えた。
遼さんが車から降りる。
「何の用やねん。」
透の声がする。
私も車から降りた。
透の顔を見る。
かなり痩せてる。
頬がコケて男前が台無しや。
私の姿を見て透が目を見開く。
威嚇するような目…。
そんなに私には会いたくなかったか?
苦笑いをしてまう。
「朱音…。」
「お母さんと呼べ。」
「なんで朱音まで来とるんや!」
透が遼さんに噛み付くように叫ぶ。
手負いの野生の獣が暴れてるように見える。
「だから言うたやろ?朱音はお前の新しいお母さんになる。今日は家族の問題を片付ける。当然、朱音も家族として参加させる。」
遼さんは淡々と話す。
「クソ親父…、朱音だけは巻き込むな言うたやろ?」
「あほっ…、勘違いすんな。お前の問題には俺と朱音は関係ない。あくまでも今日は家族の問題を片付ける為にここに来たんや。」
「何がやねん!」
「俺とお前でDNA鑑定を受ける。予約はもうしてある。」
透が固まり、私は呆然とするだけだった。
「今更、そんなもん受けへん!」
透が叫ぶ。
そうや。
今更や。
私もそう思う。
それを知ったからって家族の何が変わるの?
私の立場の何が変わるの?
遼さんの女になるには、そこが必要なんか?
意味がわからん…。
透はひたすら遼さんを睨み続ける。
私の存在なんか全く気にしてくれてない。
胸が締め付けられるように痛かった。