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嘘やろ!?
第24章 大学病院
遼さんがクックッと笑い出す。
「何がおかしいねん!」
透だけが遼さんに噛み付いてる。
遼さんに比べるとやっぱ遥かに透は子供なんやと感じる。
「お前、結婚して父親になるて俺に啖呵切ったよな?それだけの覚悟がある奴がたかがDNA鑑定が怖いんかよ?」
遼さんが透を馬鹿にしたように笑う。
誰が誰と結婚?
父親になる?
透が父親になる。
怒りが湧いた。
悲しみよりも愛しさよりも何よりも怒りだけが全身に満ちていく。
透はずっと私を裏切ってたという事実。
そして透は私じゃない誰かと結婚する事を選んだという事実。
その後も私と不倫関係が続けられるかを透は確認をして私を捨てた。
「遼…さ…ん…。」
声が震えてた。
全身の血が沸騰するかと思うくらいに身体と頭が熱くなる。
「大丈夫や。落ち着け、朱音…。」
遼さんが私を抱き寄せて頭にキスを落とす。
透が顔を背ける。
今更、恥じるんか?
自分がやった事から目を背けるんか?
透に怒りだけが湧いてまう。
「頼むから…、朱音だけは止めてくれ…。」
透が切羽詰まったように声を振り絞る。
何、言うてんの?
裏切ってたんは透やろ?
私が遼さんと幸せになったらあかんのか?
透を冷たい目で見てまう。
遼さんの腕の中で透を拒否するようにしか見てやれない。
透がやっと私を見る。
縋るような目…。
遼さんだけは止めてくれと透が私に訴える。
それは遼さんを取られたくないからか?
父親じゃないって駄々を捏ねて遼さんを独占したいだけか?
どんだけ子供やねん。
涙が出た。
愛してる…。
遼さんの腕の中やのに…。
遼さんを受け入れれば私は楽になれるのに…。
今にも死にそうな顔をする透にまだ愛を感じてる自分に涙が出た。