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嘘やろ!?
第25章 逃亡
遼さんは好きや…。
今、私の為に必死な遼さんを裏切る事は出来へん。
けど…。
馬鹿な子…。
あの子を見捨てる事はやっぱ出来へん。
遼さんは放っとけ言うけど…。
私はあの子の教師やったから…。
最後まであの子を守ってやりたい。
泣いたりしてる場合ちゃう。
どんな結果になってもあの子の味方であってやりたい。
「どんな結果になっても俺の朱音にする。」
遼さんの声がする。
それぞれの想いが痛くて堪らんかった。
遼さんの想い。
透の想い。
佳奈子の想い。
私の想い…。
私も道を選ばなければならないと遼さんが言う。
「俺と居ろ。これ以上は絶対に泣かさん。」
うん…。
わかっとる。
遼さんには充分惚れた。
けど…。
遼さんとご飯を食べたら家に帰る。
いつものようにイルカを抱いて眠る。
お互いを見失えばこんな世界では生きていけない。
だからこの世界から連れ出して欲しい。
僕達が永遠の存在であり続ける為に…。
歌いながら眠る。
私は道を選ぶ。
選ばなければ長い夜という地獄を味わう事になる。
自分の心に言い聞かせる。
教師として間違った道だけは選ぶな!
涙はなく、歌だけが私を支え続ける。
そうやって強くなる。
暗闇の中で雨が降り出した。
「来週から三者面談です…。まだ具体的な進路とか難しいかもしれませんが高校の3年間を過ごす為の大事な目標になりますから、保護者の方とよく話し合って決めるようにして下さい。」
終礼には生徒達にそんな言葉を伝える。
まだ1年生だから進路は具体的でなくてええけど、それを目指す子と目指せない子でははっきりと差が出てしまうのが高校生活だ。