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嘘やろ!?
第25章 逃亡
やっと透が顔を上げて遼さんが差し出した封筒を受け取った。
「だから俺は家族としてお前の間違いを正してやる。佳奈子はその病院に入れろ。そこは俺の同期の医者がやってる依存症専門の病院や。」
封筒を持つ透の手が震えてた。
「書類の中には佳奈子の両親の入院に関する同意書も入ってる。親は皆んなが同じ考えやいう事や。」
「けど…。」
透が情けない声を出す。
子供はどうなるんや?
それだけに縛られてる透を解放してやりたいと遼さんも必死だった。
「お前、ほんまに父親になる意味がわかるか?間違いなく俺の子や思う時の感動や苦しみが今のお前にわかるか?お前がやってる事は親の愛情やない。ただの他人の同情や。親の気持ちがわかる奴なら佳奈子の両親の気持ちがわかるはずやろ?」
遼さんが淡々と語る。
私は黙って見てるしかない。
「佳奈子の子は施設に入る。それがその子にとっては一番の幸せなんや。」
その事実はわかる。
佳奈子の生活では最悪は虐待に発展しかねない。
男の為に子供を邪魔と感じる佳奈子になるのは時間の問題だからだ。
透がその子を助けたとしても、佳奈子は次の子を妊娠する。
それを食い止める為に親は誰もが必死だ。
「さっさと行け。佳奈子をその病院に入れて来い。それがここまで引き伸ばしたお前の責任や。」
遼さんが透を部屋から叩き出した。
吉岡家の三者面談が終わった。
馬鹿な子…。
遼さんに憧れて遼さんみたいに孤児になろうとした。
そして遼さんみたいに父親になろうとした。
その全てが間違ってた馬鹿な子…。
それが私の結論…。
「朱音…。」
遼さんが私を抱きしめる。