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嘘やろ!?
第25章 逃亡
雨の中、学校に行く。
いつもと変わらない。
何も変わらない。
学校での仕事を済ませれば家に帰るだけ…。
帰りの電車に乗る為に駅のホームに立つ。
今朝のイケメン君が私の後ろに立つ。
まるでストーカーやな。
笑ってまう。
電車の中でもイケメン君は私の後ろに必ず居る。
駅に着き駅前のスーパーで買い物をして帰る。
イケメン君がついて来る。
私がマンションに入るのを見届けるとイケメン君は遼さんのマンションに入って行く。
おかえり…、透…。
遼さんのマンションの自分の部屋に透が帰って来た。
今は遼さんと出来るだけ親子をしてる。
2人でご飯を食べてると聞いた。
だから私は自炊する。
透は研究室に行くのを少し控えるようになった。
先輩の研究を手伝い過ぎて教授から
「誰の卒業研究かわからんようになる。」
と注意を受けたからだ。
佳奈子は長野の病院に入った。
山奥で逃げ出す事も出来ない。
子供はやはり出産の後、すぐに施設入りをする。
子供の為にはしばらくは母親の存在も伏せられるらしい。
雨の音しかしない静かな生活が続く。
水浸しになるテラスを眺める。
窓が雫で滲み見える街並みが歪む。
儚く頼りなげな世界…。
それはうたかたの夢…。
幻でもええ…。
一瞬で構わへん…。
運命に振り回されてばかりの、この不確かな世界から抜け出そうよ。
あの人にそれを言ってやりたかった。
毎日、電車で透が私に寄り添うようになった。
ただ黙ったまま、私を守り続ける。
遼さんとは時々、週末に出掛ける。
透とどんな会話をしたか…。
透がどんな思いをしたかを私に教えてくれる。
「2度とクソガキには惚れるな。」
必ず私にそう言い含める。