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嘘やろ!?
第25章 逃亡
「そうやね…、もう泣くのはごめんやわ。」
私がそう言うと遼さんが笑ってくれる。
「愛してる…。」
遼さんとキスをする。
そうやね…。
愛されとる。
だから…。
もう泣きたくないねん。
遼さんの腕の中でそう思った。
梅雨が明ける。
期末テスト…。
そして終業式…。
それが終われば夏休み…。
暑いな。
ノンスリーブのブラウスに一応スーツのジャケットを羽織る。
ボタンを少し開けて胸元を出さないと暑くて堪らん。
終業式だから一応スーツ…。
混雑する電車の中で汗ばんで来る。
いつも通りに学校のある駅で降りようとした。
なのに身体が動かない。
透が私を抱きしめてる。
透が降りてバスに乗り換えるはずの駅も過ぎた。
混雑する電車の中で透は黙ったまま私を後ろから抱きしめる。
少しずつ電車の混雑がなくなって行く。
終点は山だから…。
終点で透と降りた。
「遅刻や…。」
透はまだ黙ったまま…。
学校に電話をする。
「すみません、朝から熱が出て、病院に行きます。」
嘘をつく。
透が私の手を握って歩き出す。
バスに乗る。
どんどんとバスは山奥へ向かう。
バスを2回乗り継いだ。
更に電車に乗り換えて私と透は自分達の世界から逃げ出してた。
海が見える。
日本海の海。
黙って透と電車を降りて歩く。
真っ白な砂浜。
海開きをしたばかりだから、海水浴の人はまばら。
ヒールを脱ぎ、パンストも脱ぐ。
ジャケットも脱ぐと透が目を見開く。
「胸が見え過ぎや。」
やっと透の声が聞けた。
透も靴を脱いで砂浜を2人で歩き出す。
「親父に惚れたんか?」
透がゆっくりと確認するように聞いて来る。
「うん…、惚れた。遼さんが好きや…。」
透が泣きそうな顔になる。
「そうか…。」
息が詰まったような声…。
透と砂浜を歩き続ける。