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嘘やろ!?
第25章 逃亡



足の裏に砂が刺さって少し痛い。

それでも透と自分達の世界から抜け出す為には前に向かって歩くしかない。


「佳奈子とは、どんな生活やった?」


透が傷ついたのは知ってる。


「地獄やな。あれは生活とは言わん。」


透の声が震えてた。

佳奈子は透を手に入れると早速抱けと透にせがんだ。

透は妊娠中やからと拒否をした。

次の日に学校から帰ると佳奈子は他の男に抱かれてる最中やった。


「佳奈子んとこに帰りたくなくて研究室に寝泊まりしてた。けど佳奈子がいちいち死んでやるとか言うては呼び出すんや。」


それはまさに地獄…。

行けば佳奈子が抱けと言い、拒否をすれば他の男に抱かれる姿を透に見せつける。

そんな生活に疲れ切って痩せた透…。


「今更やとは思ってる。俺が馬鹿やった。」


透が寂しく笑う。


「今でも、俺は朱音だけを愛してる…。」


静かな透の声…。

私が好きだった声…。


「そうやね、私も透だけを愛してるよ…。」


私の言葉に透が目を見開いて驚愕の顔をする。


「けど…。」

「なんも言わんといて…、今も透を愛してる…。それを透に伝える事が出来んかった私が悪いんや。」


透が私の手を握る。

間違いなく透を愛してる…。

だけどな。

この先の未来を決めるのは透やない。

私を愛してくれたもう1人の人…。

最後はアンタが決めてや。

遼さん…。

ごめんな。

私が全部悪い。

だからもう透を責めんとって…。

そんな私が遼さんに愛される価値なんかない。

遼さんには充分に惚れとる。

人として親として…。

それでも男としては透に惚れ切っとる。

透の事を思うとどうしても涙が止まらない。

透が私の涙を拭う。

こんな私は透のお母さんにはなれらへん。

だから…。

最後は遼さんが決めたらええわ…。

私を透の女として認められへんて遼さんが言うなら私は透の前から消えるから…。


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