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嘘やろ!?
第26章 子守り唄
その3日後…。
「吉岡 透と言います。」
透が父に頭を下げる。
「失礼だが君は随分とお若いね。ご職業は?」
父は透を舐めるようにして見る。
スーツを着てても透は私よりも若く見える。
透が眉を顰める。
答えれば私が怒られると思うとる。
「今は大学生や。」
私の答えに父が驚愕する。
「まさか!」
「そのまさかや。国立に行ったんがこの子や。」
「お前っ!自分が何を言ってるのかわかっとんのか!?」
「わかっとる。」
「お前っ!」
「だから…、学園には辞表を出した。」
「それで許されると思っとんのか!?」
派手な親子喧嘩の始まりや。
「思うとらんわ。だから認めてくれんで構へん。ただ後で泣くんはお父さんやで。」
「なんで私が泣く。」
「孫が出来ても抱かせたれへん。」
「お前って娘は!?」
透だけが唖然とする。
「朱音…、義父さんに…。」
「君に義父さんと呼ばれる覚えはっ!?」
呆れてまう。
「透…、お望み通りに呼ばんとき。透が気に入らん言うなら私を勘当でもなんでも好きにしたらええねん。私は透と結婚する。」
始めっから父には居直ると決めてた。
これは母から教わった事…。
学生時代に厳格な父に耐えられへんと言うた私に母がこう言うた。
「居直ったらええねん。全てお父さんが正しいとは限らんもん。自分が正しいと思ったんなら居直ったらお父さんは反対する人とちゃうで…。」
お嬢様な母らしい教え方だった。
我儘放題の母が父と結婚をして上手くいってるのは母が居直るからだと理解をした。
私と透は真っ直ぐ過ぎてお互いを見失った。
2度とそんな失敗はしない。
透に対して父に居直る私を見せつける。
社会は全てイエス言うだけが正しくはないと教師として透に居直りを学ばせる。