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嘘やろ!?
第26章 子守り唄
「吉岡君と言ったか?君はこんな娘を本当に欲しいと言うのか?」
「はい…。」
透はかなり引き攣ってる。
「あかんの?」
開き直り父に詰め寄る私。
お茶を入れた母の方は透を気に入ったらしい…。
「この子、可愛いやん。私の息子や言うてスクショ撮ってアップしていい?」
母の呑気な一言に父が諦める。
「朱音…、教師はもうええんか?」
「うん…、透の方が大事やから…。」
「梶谷先生には私から頭を下げておく。」
「ありがとう…、お父さん。」
父が納得してくれれば、それでええと思う。
母のご飯で食事をして実家を出た。
「やっぱ家族ってええな。朱音んとこ、如何にも家族って感じで羨ましかった。」
最近の透は素直に自分の気持ちを言う。
他人は他人やった透が羨ましいとか言うように変わっていく。
「そんなええ家族ちゃうで…。」
思わず苦笑いをしてまう。
「親父は俺の母親は死んだって嘘をついてたんや。」
初めて透の口から母親についての話を聞く。
「だから…、中学ん時にいきなり母親言う人が現れて親父は嘘つきやと憎んだ。そしたらその母親から親父は違う人やとか言われてな。」
透は笑いながら話すけど、ほんまは思い出すのも嫌なんやと感じる。
私が見る限り透の唇が震えて、ハンドルを握る手が真っ白になってた。
「もう、どっちも要らんわ。そう思った方が俺には楽やったんや。」
透の手に手を重ねてやる。
大丈夫…。
大丈夫やから…。
これは透の治療やと遼さんが言うてた。
『アイツが馬鹿な事をするのは、何も言わんと1人で考え込んで脳を限界まで使うからや。人の脳は限界を超えると考える事を拒否する。アイツが寝てばかりの時は考え過ぎてる時やと思ってくれ。』
遼さんは医者として私に透の治療を託した。