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嘘やろ!?
第26章 子守り唄
今日は淀川の花火の日…。
マンションのテラスでバーベキューをする。
せっかくだからと千里と結愛も呼んだ。
千里は透が遼さんの息子とは知ってる。
でも、私の教え子だった事実を今話す事になった。
「だから…、学校辞めちゃうの?」
真面目な結愛が不安そうに聞いて来る。
「普通に寿退職や。だから今日は奢ってや。」
千里と結愛に笑ってそう言うてやる。
その為にドリンクは遼さんのBarから出前をさせた。
「花火が終わったら店に行こうや。」
千里が言う。
お目当ては慎也さん…。
「ええよ。皆んなで行こうや。遼さん…、席を予約しといてな。」
「わかっとる。」
慎也さんにキレた透はもう慎也さんを許してる。
慎也さんが難しい道を選んだというだけで子供を蔑ろにする意思はないと理解をしたから…。
透が私の頭を撫でて来る。
「時間や…。」
透の一言とともに見事な花火が光る。
数秒遅れてドンッと音がする。
「確かに見えるけど…。」
「微妙にしょぼいな?」
「やっぱ、堤防で見んと迫力ない?」
「堤防なんか人混みで身動き取れなくなんで…。」
花火よりもお酒と食事と会話に夢中の大人達…。
透だけが真っ直ぐに花火を見てる。
「ちゃんと見たん初めてなんや…。」
透がそんな事を言う。
「俺が仕事で見せてやれんかったもんな。」
遼さんが透の頭を撫でた。
花火の日は遼さんの店は満席になるほどお客が来る。
遼さんは忙しくて透に花火を見せてやれんかった。
やっと親子で見れた花火…。
私との約束を果たしてくれた花火…。
それは、一瞬で儚く消えるうたかたの夢の時間かもしれないけど透と私にとっては大事な一瞬だった。