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嘘やろ!?
第5章 Barのマスター



嘘やろ!?

この人のチャラい話をどこまで信じていいのかを疑いたくなって来る。

それでも遼さんはやっぱり表情を変える事なく淡々と話を続けてくれる。


「で、まぁ…、この店付きのマンションを買うて俺はBarのマスター兼家主になった訳や。」


満足気にニンマリと遼さんが笑う。

遼さんの人生は大体が見えて来た。

肝心の透は?

再び遼さんを睨み付ける。

遼さんはとぼけるようにして話をまた続けた。

この街が夜の繁華街だから遼さんが家主になったこのマンションの住民は大半が水商売や風俗の女性で訳ありの一人暮らしという人が多い。


「そういう女って母性本能が強いから透は母親代わりには困らん子やったんよ。」


遼さんがニヤニヤとする。

後はBarで遼さんに惚れ込んだ女性客が透の母親になりたがるから小さな透にはいっぱいお母さんが居たらしい。

だけど、それはどれも本物のお母さんじゃない。

小さな透は可愛くて真っ直ぐな子。


『俺もお父さんみたいにお医者さんになれる学校に行くよ。』


それが透の小学校の時の夢。


「俺に似て、頭の良い子やったから透は常に優等生やったんや。」


そして真っ直ぐに中学生になった透。


「アイツが現れたせいで透がおかしくなったんや。」


その瞬間、遼さんが顔を歪めた。

アイツとは本物の透のお母さん…。


「やっぱり透にとっては実の母親やからな。無下にも出来んやろ?」


初めての家族3人でレストランへ食事に出掛ける。

その食事の最中に透のお母さんがとんでもない事を透に言い出した。


『アンタな遼の子供じゃないかもしれんねん。だからお母さんと暮らそうや。アンタの本物のお父さんにも会わせたるからさ。』


そんな母親の言葉に完全に透が固まっていた。


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