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嘘やろ!?
第5章 Barのマスター
別に大した自殺ではなかった。
病院に行くほどでもなく手首にためらい傷を作る程度の自殺。
受験前なのに透の事ばかりに頭を支配されて突発的に行った自殺だったらしい。
それでも、その女の子の母親が学校側へと訴えた。
透のせいで自分の娘がおかしくなったのだと…。
透のせいで苦しんで成績も下がったから自殺までに追い込まれたのだと全てを透のせいにする訴え…。
当然、透にも学校側からは事情聴取が行われた。
『そんな女、付き合った覚えもないし、顔すらわからねぇよ。』
透はやっぱり冷たくそう答える。
だから、そういう態度の透に対して透の周りに居た女の子達も一気に手の平を返して透に反撃をした。
自分達も透に弄ばれて傷ついたのだと…。
一瞬で透は優等生から問題児へと変化する。
女の子達の保護者の怒りは遼さんへも向けられる。
『ホストみたいな父親だけで育てているから、おかしな子供に育つんだ。』
と…。
「俺は何も言えんかった。その頃の俺は事実、今と同じ生活の俺や。俺と朝飯を食ったら透は学校に行き、俺は透が帰って来るまで寝てるだけの父親や。酷い時は女を抱いて寝てる時もあったしな。」
遼さんが寂しく笑う。
その頃の透はもうこのマンションで自分の部屋を持っていたし、半分一人暮らしをしているような中学生だった。
女にだらしない父親の子供は女にだらしないと決めつけた学校は透をトップクラスの公立高校に行かせる事は出来ないと決定を下した。
嘘やろ!?
ここで初めて言葉を発した。
「透は…、透は何も言わんかったんですか?自分が行きたい高校や、自分は女の子達を傷つけるつもりはなかったと言わんかったんですか?」
遼さんの胸ぐらを掴んで聞いてた。