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嘘やろ!?
第5章 Barのマスター
遼さんが優しい顔でゆっくりと首を横に振る。
そして、私を怖がらせたくないかのように、ゆっくりと私の頭を撫でながら
「アイツはずっと黙ったままやった。冷ややかな目で薄ら笑いを浮かべて、人を見下したように学校の先生や女の子達の保護者を見ながらずっと黙ってるだけやった。」
と言った。
遼さんは今にも泣きそうな顔をしてる。
私はもうほんまに泣いてた。
ほんまは優しくて真っ直ぐな透を知ってる私には学校側が透に問題児というレッテルを張る事で問題責任の全てを透に押し付けたという事実が悔しかった。
その日から透が遼さんのBarの厨房を手伝うようになったらしい。
『高校は卒業が出来る学校ならどこでもいい。私立で金がかかる言うなら俺が店でバイトするから、その金で学費を払ってくれ。』
透が遼さんにそう言った。
「金の心配はすんな言うたけど、透はただ笑うだけやねん。」
遼さんはBarで透が働くのなら透と接する時間も増えるから、それはそれで構わんと判断をした。
更に透に大学はどうすんのかと遼さんが聞いた。
『高校に通う3年の間に考えるわ。行きたかったら行くし、行く気がなかったら行かへん。大学なんか行っても俺の人生が変わるとは思わんし。』
それが透の答えだった。
大学には行こうと思えばいつでも行ける実力がある透の言葉…。
医学部を出ても結局はBarのマスターになった遼さんを見て、そういう結論を出した透。
後は私が知ってる学校で寝るだけの透が出来上がったという話やった。
「さて、そろそろ仕事に戻るわ。」
やっと泣き止んだ私の背中を遼さんが押す。
もう深夜になってる。
遼さんの部屋を2人で出た。