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嘘やろ!?
第6章 デート
透は女の子達を気にする様子もなく私の肩を抱いたまま車に向かって歩き出す。
「あんな女達は知らんわ。いわゆる逆ナンいう奴や。わざとらしく明石海峡大橋と瀬戸大橋を間違えて道がわからんとか言うて話し掛けて来た。」
「なんやそれ!?」
明石海峡大橋と瀬戸大橋じゃあまりにも距離が違い過ぎる。
ましてや車のナビゲーションでここまで来たんなら絶対に間違えるはずがない。
「しかも、大学生やで?私達、馬鹿なんでーすを丸出しにしてナンパなんかされても萎えるだけや。だから女を待ってる言うたけどしつこいし、朱音は勝手にどっか行こうとかしよるし、まいるわ。」
本気で透が怒ってた。
「悪かったさかい…。」
「だから、急がんと昼飯がめちゃくちゃ遅くなるって言うたやろ?」
「だから、ごめんや言うてるやろ?」
口喧嘩をしながら車は高速の上をどんどんと走って行く。
文句を言いながらも透はニヤニヤとしてる。
「妬いたんか?」
「妬けへんわ。」
「せっかく俺好みのええ女になったんやから、俺の事を少しは好きやて認めろや。」
「それは出来へん。」
「朱音のそういう真っ直ぐなところが好きや。」
透はずっとご機嫌で笑ってくれる。
真っ直ぐに好きや言うてくれる透にドキドキとする。
好きや、透…。
誰かに取られたら気が変になりそうなくらいに透が好きなんや。
窓の外を眺めながら今は透に言ってやれない言葉を飲み込んだ。
車は鳴門大橋の手前で高速を降りた。
「ここに来たかったんや。」
透がご満悦の顔をする。
海と島と鳴門大橋が一望出来る展望レストラン。
透の言ってた通りで昼食にはかなり遅い時間になってしもた。