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嘘やろ!?
第6章 デート



猫みたいな鋭い目が真っ直ぐに私だけを睨むと背筋がゾクゾクとして来る。

全てを見透かすような目…。

その目から自分の目を逸らしたくなる。

いつだって透には後ろめたい気分になってまう。


「無理やと言うとるやろ?」

「なら、俺ん家にテストを持って来いや。」

「あほか…、テストは個人情報やで。」


どんどんと透が不機嫌になっていくのがわかる。

私がこんな態度やから隆也に捨てられたんや。

このままじゃ、きっと透にもすぐに捨てられる。

透は隆也よりも子供やもん…。

忍耐なんかある訳がない。

泣きたい気分のまま蕎麦屋を出た。

車に乗った瞬間に身体が運転席の方へと強引に引き寄せられる。

唇に透の唇が重ねられる。

ゆっくりと優しく喰むようなキス。

身体中が火照って疼かされるキスをしながら透の手が私の顔を撫でて来る。

ゆっくりと透が離れる。


「5分でいいんや…。頼むから俺の為に朱音の時間を5分だけくれよ…。そしたら俺は朱音の為になんぼでも我慢をしたるからさ。」


懇願をするような言葉…。

涙が出るほど嬉しかった。

透はまだ子供や。

だからこそ、つまらないプライドを持たんと自分が欲しいものを素直に欲しいと私に懇願する。

こんな形でお互いで歩み寄る事を透に教えられる。

つまらない大人のプライドでムキになっていた自分が愚かだと感じる。

透の為に自分がしてやれる事をしてやりたい。


「努力はしたる。」

「そうしてくれ…。」


私の言葉にやっと透が笑ってくれた。

車を走らせて私の家に向かう。

運転をしながら私の手は握ったまま…。

離れたくない気持ちをそうやって真っ直ぐにぶつけて来る透に幸せを感じた。


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