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嘘やろ!?
第7章 妖怪退治
タクシーの運転席の隣の助手席にはしっかりと塗り壁が乗っとるというこのおかしな状況に顔が引き攣ってしょうがない。
「送るよ。」
というネズミ男の言葉と同時にネズミ男が停めたタクシーに千里が勝手に乗ってしまったから私は嫌々ながらも一緒に乗り込む羽目になる。
「運転手さん、その道を右ー。」
千里がご機嫌で道を言う。
披露宴でしこたま飲んだビールのせいで千里は既に酔ってる状態。
「ちょっと、千里。この道ってまさか?」
「うん、このまま飲みに行こうよ!」
ヒラヒラのピンク色のドレスのスカートを少し摘んで千里が言う。
千里はドレスを見せびらかすように遼さんの店に行こうとしてる。
「おっ?いいね。飲みに行こう。」
ネクタイを緩めてネズミ男もノリノリだ。
「ちょっと、アンタ…、あの店では慎也さんが目当てじゃなかったの?」
千里に耳打ちをする。
「慎ちゃん…、最近は冷たいんだもん。だから、わざと男連れを見せつけてやるんだ。」
千里が膨れっ面をした。
これは千里の悪い癖だ。
彼氏が忙しかったりするとわざと他の男と遊んで気を引こうとする。
だから毎回、振られて捨てられるんだと何度も叱って来たけれども千里の悪い癖は治らない。
悪い癖に関しては私も千里の事は言えんか?
隆也に可愛くない態度を続けて捨てられた。
なのに透にもいつも可愛くない態度のまま。
いや、透には捨てられた方がええんやった…。
多分、ビールのせいで私の頭もよくわからない状況になってる。
千里みたいに他の男といるところを見せつけたら透はきっと私を捨てる気になってくれる?
自虐的な事を考えてる間にタクシーは遼さんの店の前で停まった。
「今日は日曜日やから休みちゃうの?」
「遼さんの店、年中無休やもん。」
その言葉に驚愕をする。