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嘘やろ!?
第7章 妖怪退治
これ以上は、このネズミ男と飲む気になんかはならない。
かと言って、千里は慎也さんが来るまでは動かんとは思う。
こんな妖怪連中の中に千里を1人には出来んとはわかってる。
それでも今の私がやるべき事は1つだと透の目を見て確信をした。
席を立ち、わざと透に身体を擦り付けるようにして寄り添う。
甘えるようにして透の耳元で囁く。
「私は帰るわ…、透…、悪いけど千里の面倒を見たってくれる?」
「わかった。」
「絶対にお願いやで…。」
「わかってる。朱音の頼みは全部聞いたる。」
やっと笑顔になる透が私の顔を指先で撫でて来る。
「千里、いい加減にしときや。」
透が私に言うたようにそれだけを千里に言うてから1人で店を出た。
塗り壁とネズミ男が唖然とする中で私はBarから立ち去った。
透が私に千里を守ると約束をしてくれたんなら遼さん達も千里を守ってくれる。
千里が居るからと下手な言い訳をして、くだらない男といつまでも居るなと透が私を叱った。
だから私は大人の対応をする。
子供の透に叱られたダメな大人の女…。
始めっから透と遼さんに千里を頼んで帰れば良かったやんと後悔をした。
まだ高校生のくせに…。
俺を信じろと私は透に叱られた。
あの日、意地を張ってグデグデに酔っ払ったせいで透と関係を結んだ。
同じ失敗ををまた繰り返す気かと透が私を叱る。
その叱責が嬉しいと感じる。
だから私は透を信頼して透には妖怪退治の全てを任せれば店を立ち去る事が出来る。
元々、遼さんの店は酔った女性をナンパする男が多いと千里が言うてた。
そのナンパが嫌な場合は透達バーテンダーが助けてくれる事になってる店。
透はそういう状況に慣れて育ってる。
変に私が心配をしてネズミ男に気を持たせる真似をする方が間違ってた。
慎也さんが来れば千里はきっと慎也さんの言う事を聞いて大人しく帰るはず。
馬鹿な女の姿をまた透に見せちゃったと笑いながらタクシーで自分の家に帰った。