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嘘やろ!?
第8章 スペアキー
「早くない?」
まだ3時にはなってない。
「朱音が親父に見つかったんやろ?今日は早よ上がれって言われたわ。」
メガネを外しながら透が苦笑いをする。
パジャマに着替えてテーブルで裂きイカを食べながらビールを飲んでた色気のない女の頭に透がキスを落として来る。
「帰ったら…、部屋に電気が点いてるってええな。」
目を細めて真っ直ぐに私を見る透の言葉…。
透の素直な言葉…。
透の本音…。
そんな言葉をもっと聞いてやりたくなる。
「ご飯を作ったるから、透は風呂に入っといで…。」
そう言った私の言葉に透が目を見開いた。
「朱音がか?」
「あかんのかい?」
「作れんのか?」
「親子丼くらいなら作れるわい!」
透がやたらと嬉しそうに笑った。
やっぱり、その笑顔が好きやと思う。
綺麗で可愛くて純粋な笑顔…。
照れくさくて透から目を逸らす。
「期待するわ。」
そう言って透が風呂に向かった。
あかんし…。
もう…、めちゃくちゃ惚れとるわ…。
自分の気持ちに確信をする。
逃げられへん。
アホみたいに透の部屋に通う自分の姿が簡単に想像が出来る。
ビールを飲みながら透の為に親子丼を作ってやる。
透の胃袋を掴めと遼さんに煽られたんをわかってて私は透の為にご飯の用意をする。
少しでも透にご機嫌でいて欲しいと思うから…。
寝不足の透がくれる貴重な時間を大切にしてやりたいと思った。
風呂上がりの透がご機嫌で親子丼を食べてくれる。
「なんや変わった味やけど、やたらと美味いやんけ?」
透が不思議そうな顔をする。
そういう時の顔はまだまだ子供やと感じる。