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嘘やろ!?
第8章 スペアキー



不味かったんか?

不安になる。


「出汁にこれを入れたんや。」


ビールを飲みながら口に咥えていた裂きイカを透に見せてやる。


「裂きイカで出汁を取ったんか?」

「アゴがなかったんやもん…。」

「アゴ?」

「トビウオの干物や。アレで出汁を取るとうどんとかめちゃくちゃ美味いんやで…。」

「朱音が初めてまともな知識を言うとる。」


そうやって透が私を馬鹿にしたように笑う。


「失礼やな?」

「まさか、そういう女の部分を見せてくれるとは思ってなかったからな。」


透がニヤリとして食べた食器を片付けてた。

やっぱり見抜かれてると思う。

裂きイカを咥えてビールを飲んでオッサンの演出をせんと透の顔がまともに見られへんのがバレバレや。

可愛い女の姿で甘える事にまだ躊躇ってる。


「やばいくらいに可愛いし…。」


透が私を抱き上げてそう言う。

いくらオッサンを演出しても私の心を見抜いてる透にはそれが可愛い演出に感じるらしい。


「学校やなかったらええんやろ?」


抱っこしたまま透がベッドに私を運ぶ。


「疲れてんねやろ?ちょっと寝たらええやん。」


可愛くない答えを言うてまう。


「可愛い女を放ったらかして寝れるかい…。」


顔を撫でながらキスを繰り返す。

1つずつ、パジャマのボタンが外される。

ほんまに脱いだら終わりやな。

透の言っていた言葉に納得をする。

ごめんな…、透…。

まだまだ可愛い女にはなれそうにないわ。

そう思いながら自分から透の首に腕を回してキスを求めてた。

透はただ優しいキスを繰り返して私の身体を溶かしていく。



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