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奴隷の罠
第3章 三
普段無愛想で表情一つ変えないのに、椿山がこんな顔をするなんて……。
「私が誠也様に奴隷にして欲しいと頼んだのよ」
「どっ、奴隷ですかっ?!」
牡丹の言葉を聞くと、椿山は右拳を口に当ててごほごほと咳き込んだ。
…動揺を隠しきれていない。
顔には汗が滲み、頬は紅潮している。
「またお嬢様はバカな事を!」
「うるさいわね。椿山に何が分かるのよ」
牡丹はぷいっと椿山から顔を背けた。
…椿山には分からないわ。
誠也様とお母様の関係を知っているのは、きっと私だけ……。
幼い頃からずっと片思いしていた誠也様を母親に取られた気持ちなんて、分かるわけない……。
「…何で奴隷になりたいと思ったんです?」
「そんなの、誠也様の一番になりたいからに決まってるでしょ!」
半ば呆れ顔の椿山へ向かって、不機嫌気味に話す。しかし、
「奴隷って……。どんな事をするのか分かってるんですか?」
その質問に牡丹はドキッとした。