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白濁の泉
第3章 米沢の流儀と記憶
今や役員に上りつめ、権利管理と経営に徹しているが元を正せば現場の人間。
入社以来、撮影やスカウトに携わりヒットメーカーとしてAV業界に米沢の名を響かせて来たのだ。
私の目は確かだ。
何万人もの女性をスカウトやオーディションで審査し、選び抜いて来た。
大抵の人々は大きな勘違いをしている。
風俗にしてもアダルト映像にしても女ならば誰でも簡単に稼げる業界だと。
実はそんなに甘い世界ではない。
毎日毎日、山程の出演を願い出る一般女性や芸能プロダクション関係者が私の所へ陳情に訪れる。しかし、その中で撮影に至るのは僅か一握りの存在。
ダイヤの原石はそう易々現れる事なんてない。
だからこの業界ではスカウトが盛んに行われているのであって、決して出演女性が居なくて仕方なくスカウトに頼っている訳ではないのだ。
1年間に発売されるアダルト作品の数をご存じだろうか?
年間35,000本の作品が世に出回り、ヒットと呼ばれる作品は一本で10億もの売上を生んでいる。並みに売れる作品は、それでも一本3億円~4億円。カスみたいな作品は赤字だけを残し僅かな金額で裏の世界に叩き売りされている。
35,000作品のうち、並のランクにノミネートされる作品は約2000作品程度と見込まれ、制作側としても厳しい業界なのだ。
では、売れる作品と売れない作品の違いは何か?
内容なんてどれもこれも男と女がセックスをしている所を撮影している、平たく言ってしまえばこれだけの事だ。
では、どうすれば売れる作品を作る事が出来るのか?
それは、ユーザーが『抱きたい!!』と思える、そそられる女性を起用し、『何度でも抜ける』シチュエーションに演出する事に尽きるのだ。
男には千差万別、果てしない性欲と性癖があり、現実世界ではタブーとされる事を叶えたいと言う願望の塊である。私はその願望を叶えるのではなく、ユーザーに新たな願望を与える作品を制作しなければならないと思っている。
だから友人の奥さんだろうが、自分の妻だろが、撮ると決めたら妥協ない演出でユーザーのチンコが勃起して破裂しそうな興奮を作り出して見せる。
これが私の仕事の流儀。