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白濁の泉
第1章 始まり。
妻、千春は当時35歳。
脱サラし事業を始めたばかりの私の会社の経理や事務仕事を懸命に手伝ってくれていた。
その頃は仕事の選り好みが出来る余裕もなく、ひたすら数をこなしながらの自転車操業の日々だった。
そしてある日、とうとう資金がショートしてしまう。
そんな時の事だった。
千春が神妙な面持ちで私に話しかけて来た。
私には察しが付いていた。
とうとう資金が行き詰まったのだろうと。
『しばらく、家を空けてもいいかな?』
『どうして?』
『申し訳ないけど3ヶ月だけ支払い待って貰えるように取引先にお願いして欲しい。私が風俗行って短期で稼いでくるから……』
千春は20代の頃にヘルス嬢として風俗に身を置いていた経験があり、その事に私は何の抵抗もなく承知していたが、いざ自分の妻となった千春がまた風俗嬢として客を取る事を躊躇いなく了承する事はさすがに出来なかった。
その時私は『すまん、少し考える時間をくれ』としか言葉を返せなかった。
その後も割りきれない思いを抱えながら金作に回り続けた結果、知り合いの社長の厚意で無利息の融資を受ける事が出来た。
首の皮一枚で事業は繋がり難を乗り切る事が出来きたのだった。
心底ほっとした。
妻を風俗嬢として働かせる事を回避出来たのだから。
しかしこの事がきっかけに、封印して来た筈の私の中の邪気が息を吹き替えしていったのだった。
千春だけに向けられた性癖に新たな火が放たれたのだ。