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白濁の泉
第2章 なれ初め

今となれば動機なんて曖昧になってしまいました。
どうしてAV嬢として撮影に出演したのか?

あの頃は夫の事業も軌道に乗りだし、とくべつ余裕なんて無いものの差し迫ってお金が必要な状況でもなかった。
確か、アパレルの仕事を始めたい……そんな理由をつけ夫に話をした筈でした。

あの当時、夫の潤は30歳で、仕事の面でも男性としても一番エネルギッシュな年齢でした。私の方が5歳年上で年下の旦那さんでしたが常にリードしてくれる、今でも頼り甲斐のある夫です。

私が潤と出逢ったのは25歳の時。横浜は伊勢佐木長者町にある深夜のコンビニでした。
彼は横浜市内にある大学に通う学生で、20歳になったばかりのテキパキとした動きをする好青年。いつも店内への扉が開くと「お疲れ様で~す!」と満面の笑顔で迎えてくれ、昼夜関係なく閉ざされた世界で働く私に癒しを与えてくれる人でした。

仕事前にも潤がアルバイトするコンビニに寄り飲み物を買って行く事がありました。彼は大学に通っている為、午前中や日中は見かける事なんてない、居ないと分かっていてもつい目で探してしまう様になっていました。
あの純粋な屈託ない笑顔に癒されたかったのかも知れません。




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