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きっかけは映画館
第15章 これはデートですか?
「しばらく飛ばしたら、寒くないか聞くからね。」
「しっかり腰に手を回して、俺にしがみついててね。
まあ自然とそうなるけど…
クスッ…」
エンジンを掛けて後ろに跨がって、手を引っ張られてヒジオのお腹で組むように誘導されて、
メットを被ってるし、エンジン音で掻き消されて、良く聞こえなかったけど、
頷いて返事した。
ブオォン…ブオォン…
エンジンを吹かして、出発…
って、ギュンと進んで上体が置いていかれそうになって、慌ててヒジオにしがみついた。
ブィイイイン…
エンジンが加速するのを体感する。
バイクって気持ちいい。
ヒジオは黒の細身のジーンズに黒の革ジャンを着て、ライダーみたい。
シルバーのバイクに黒いヒジオ。そこにコアラみたいにしがみついてる私に、私が背負ってるリュック。
昨夜、
【手荷物はリュックに入れてね。】
ってだけラインが来たけど、確かに…
離れると風がヒジオと私の間を通るから、ぴったりとくっつくように乗る。
バイクとヒジオと私が一体にならないと進めない。
って初バイクの風を味わってたら、すぐにコンビニで止まった。
「休憩早くない?」
「麻里絵ちゃんバイク降りてみて?」
ヒジオが抱えて降ろしてくれたけど、バイクの振動が内ももに走ってて、ガクガクした。
「トイレ…行ってくる。」
「どうぞ…クスッ…」