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きっかけは映画館
第15章 これはデートですか?
大磯のパーキングで休憩。
少しは慣れたかと思ったのに、カクンと膝が笑う。
ヒジオはからかわずに、腕を出してくれたから、そこに掴まって歩く。
「ヒジオは痺れないの?」
「ああ、慣れかな?」
「なんか、ヒジオが言うとヤらしい。」
「どこにヤらしい要素があるんだよ。そういう麻里絵ちゃんがエロいんじゃないの?」
「なんかね。バイクとヒジオと私が一体になって溶けたような気になるのに、地面に降りるとカクカクで、私だけ置いていかれた感じ…」
「………ップ…そういうこと、他所で言わないでね。」
「何でよ!!」
「可愛くて抱き締めたくなっちゃうからだよ。」
ヒッ…
離れようとする私の手をしっかりホールドされた。
でもトイレの前に行くとサッと手を離し、トイレから出るとさりげなくやってくる。
ソーシャルアドバイザーだからかな?
相手の気持ち読み取るのが上手…というか…
「ちょっとゆっくり座って休憩しようか。ソフトクリーム食べる?」
「うん。」
海に面した席についてから、私が待ってヒジオが買いにいく。
比べちゃいけないと思うけど、裕司と付き合い始めた頃は、一々相談したり、お互い反対のこと考えててすれ違ったり、噛み合わなかったり、それを時間を掛けて自分たちの形にしていったのに、そのまま馴れ合いになってしまって…
お互い空気みたいな存在になってたんだよね。
ヒジオとは、そういう気遣いがない。大人になってからの付き合いだからか、ヒジオがソーシャルアドバイザーだからか、気が合う肌が合うってことなのか…
「麻里絵ちゃん、種類があったから、こうなった。」
ヒジオが困った表情で戻ってきた。
チョコとバニラのミックスと苺とバニラのミックス…
「苺は期間限定のあまおうだって…
どっちがいい?」
「ふふっ、さすがソーシャルアドバイザー、商売上手ですね?
苺にする。」
ヒジオの顔は、やっぱり正解って自慢顔だ。
でも食べてるとこジィーっと見てくるから途中で交換してあげた。
また顔真っ赤なヒジオが見れた。