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きっかけは映画館
第15章 これはデートですか?
「俺とこうしてるの嫌?」
「ううん…」
「辛い?」
「ううん…ヒジオは、ソーシャルアドバイザーだから、無理して私に合わせてるんじゃないの?」
「あはは…それで出てきたわけね。
麻里絵ちゃんが好きだから合わせてる。でも辛くないよ?」
「でも、付き合って、馴れ合いになったら、褪めちゃうかもよ?」
「それは保証出来ないな。」
ビクッと麻里絵ちゃんが離れる。
だからもう一度抱き締めて言ったんだ。
「だからさ、嫌いになったら、おしまいでいいって言ったでしょ?
俺は嫌われないように努力するけどね。
麻里絵ちゃんがもし俺を好きになったら、嫌われないように努力すればいいんじゃない?」
ううぅ…
麻里絵ちゃんは声をあげて泣き出した。
「ぶっちゃけね。体を繋げちゃえばはっきりすることだと思う。好きか嫌いか…
昨日も言ったけど、初日、痴漢…した時から、相性いいなって思ったから…
でもね…しない。
麻里絵ちゃんを大事にしたいから…
今も…我慢してる…」
「繋げればわかるってだけ…
ヒジオは女馴れ、してるんじゃない?」
「……そうかもね、彼女持ちだって入社時から通してて…別れたって広まったら…モテ期がきた。
でもさ…体から始まっても付き合いたいって女、居なかったんだよ…
結局、くる女も一夜限りみたいな…
中身見てくれる女性に、出会えなかったんだ。
だから、ここ一年は、そういうのもしてない。
だから今、爆発しそうだ。」
麻里絵ちゃんはギョッとして離れた。
そして涙も止まってた。
「さて、本当は予定を言わずにびっくりお出掛けの予定だったんだけど、麻里絵ちゃん不安だろうから、
もっと海綺麗な海岸にいって、薔薇園見て、日帰り温泉で汗流して、帰りがけに美味そうな店探して食べて帰る予定。
だけど、嫌なら今日は帰ろう?明日から仕事だしね。」
本当は逃げ道なんか与えたくなかったけど、麻里絵ちゃんが好きだから、逃がしてあげる。
でも、ここで決めてもらうよ。
麻里絵ちゃんが答えやすいように、俺だけ立ち上がって視線を反らせた。
しばらく沈黙が続いたけど…
「行く。」
小っちゃな声だったけど、聞こえたから、抱えあげてバイクに連れ戻した。
メットを被せる時に、何回かしてるのに、めっちゃ照れてて、キスしたくなったけど、また堪えた。