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きっかけは映画館
第15章 これはデートですか?
「プライベートビーチみたい。」
「あの岩山の向こうは流れも急だし深いから、軽く水浴び程度になるけどね。
夏になったら来る?」
「来てみたい。でもどうやってこういう場所を見つけるの?」
「近所の奴か、ツーリングしてる奴らだけの穴場みたいなものがあるんだよ。
今はネットでそんな情報も簡単に仕入れられる。」
「へぇ〜、何となく道が出来てたもんね。」
「ああ、でも、昔は降りられたのに崖崩れして、いきなり断崖絶壁、なんて所もあるから、気をつけなくちゃならないんだ。」
「ヒジオの趣味はツーリング?」
「そうだね。宛もなくふらふらしたり、自由気ままに楽しんでる。」
素敵な場所に連れて来られて気分が晴れた。
「さぁ〜て、帰りが地獄だよ?」
しばらく海の水を手で触れたり、真っ白な砂をサラサラ指から落としたりして景色を楽しんだ後、元来た道を帰る。
降りる時ですらヒジオに助けられた坂道は、断崖絶壁に見えた。
「登れるかな。」
「引っ張り上げるか、お尻を押して上げてやるよ。」
「………それが、狙いだったんでしょう。」
「麻里絵ちゃん、相変わらず手厳しいね。
でも、そうしないと帰れないよ?」
「んんん…出来る限り自力で頑張る。」
麻里絵ちゃんには俺の薄っぺらい魂胆はバレバレだったようだが、やはりどうしても上がれない所にやってくる。
ジーパン越しでも、ぷりっと上向きのお尻をホールドして押し上げられるのは、今日のお出掛けの俺への細やかな褒美だったんだ。
ヤバい、手指の感覚が超能力化してる。ジーパンを通り抜けて麻里絵ちゃんのお尻を堪能してる。
「ヒジオ、お尻揉まないでよ!!」
「揉んで…ない。暴れるな、落ちるよ!!」
ってお馬鹿なやり取りをしながら、マジ柔らけぇ〜、と堪能する。
漸く林の中の平坦な所に戻った時には、麻里絵ちゃんの顔は真っ赤になっていた。
麻里絵ちゃんだって、触られてまんざら嫌ではなかったと気づいているはずだ。
本気を出すって宣言してあるし、こうやってじわじわと俺に興味を持ってもらう。
その為のお出掛けなのだ。