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きっかけは映画館
第15章 これはデートですか?


「次の薔薇園はね、正直行ったことない。女の子ってこういうところ好きなんだろうなって思いながら通り過ぎるだけ、だから麻里絵ちゃんが興味なかったら飛ばしてもいいよ。」

「ヒジオは行きたい?」

「ああ、野郎一人じゃ行けないからな。
女の子連れて行きたいって…」

「じゃあ行く。」

泣いた後の麻里絵ちゃんは子供みたいだ。駄々っ子を手懐けた感じがした。

バイクだと抱き着いてもらえるのは利点だが、麻里絵ちゃんの顔が見えない。
薔薇園で、ゆっくり隣を歩きたかった。

マップをもらって入場する。肘を出せば、掴まりにくるのは定着した。

色とりどりの薔薇を見て回る。『綺麗〜』『可愛い〜』そうやって喜ぶ麻里絵ちゃんが綺麗で可愛い。


もうちょっと近づきたくて、急に肘を伸ばしてみると、ストンと支えを無くした麻里絵ちゃんの手が落ちてきた所をキャッチして繋ぐ。

ハッとして俺を睨む麻里絵ちゃんだけど、優しく繋いだ手から逃げることはなかった。

だから、指をなぞったり、手の甲を親指でくるくる撫でたりして、麻里絵ちゃんの手を堪能した。

麻里絵ちゃんはまた紅くなりながらも、

「ヒジオ、それ好きなの?」

って聞いてくる。

「麻里絵ちゃんは嫌い?」

聞き返せば、

「嫌い…じゃない。」

もっと紅くなって俯く。

俺の本気を事あるごとに体感してもらうつもりだ。



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