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きっかけは映画館
第16章 ハロウィン
私は裕司にそんなに細かく話したりしなかった。
だから、距離が開いてしまったのかな…
「星川 晃(ほしかわ あきら)です。」
名刺を渡される。
漢字が…韻を踏んでる?
お日さまから生まれて川になって光って…天の川みたいな名前だ。
って、テレビ局なんて忙しそう。
「間宮先輩、いつも優希がお世話になっております。」
「いえいえ、優希ちゃんにはこちらがお世話になっているのよ、星川さん。」
「あ、晃でいいですよ。」
「じゃあ、優希ちゃんに晃くんで…」
「はい。」
ほどなく晃くんのビールが到着して乾杯する。
やっぱり、優希ちゃんと晃くんの距離は近い。
それに比べて私とヒジオは…
いや、付き合ってるわけじゃ、いや付き合ってるけど、恋人じゃないし、
取引先の相手という表面上の関係があるし…
「お仕事の話はもう大丈夫なんですか?」
「星川さん、もう大丈夫なので、片桐さんにあなたを呼んでもらったのだから…」
「土方さんも、晃でいいですよ。優希にだって、名前で呼んでるらしいし。」
何となく、晃くんがヒジオに対してライバル視をしているように感じた。
もしかして…優希ちゃんの方からヒジオを誘ったことを聞いて、良く思ってないのかも…
「あ、晃君、安心して、俺が気になってるのは、こちらの間宮さんだから…」
っへ?何言っちゃってるの?
と、どう対処しようか考えていたところで、
ポン…と、ヒジオの手が私の肩に置かれた。
えっ…えっ…えええっ…
驚いたが、
皆の前で何してるのよ!!
っと、ヒジオの手を払う。