- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
きっかけは映画館
第16章 ハロウィン
「ほらね、難攻不落の間宮嬢を落としにかかってるんですよ。」
「ああ、つまらない嫉妬心をお見せしてすみませんでした。」
「きゃあ〜、土方さんと麻里絵先輩が付き合ったら、お似合いだよな〜、って、商談の時から思ってたんですよ。
でも麻里絵先輩の恋愛事情を知らないし…?」
…………
三人がほぼ同時に話し始め、最後まで話していた優希ちゃんの質問に三人の視線が集まった。
ヒジオまでしっかり私の方を見てる。アンタは知ってるでしょうが!!
無視してビールを飲み続ける。
「あ、麻里絵先輩、ビールじゃないものに変えましょ?それに少し食べないと…。」
地雷を踏んだ優希ちゃんが無理に話題を変えようとしていた。
「間宮さん、ビール大好きなんじゃないの?」
「土方さん、先輩はビール大っ嫌いなんですけど、乾杯の時は、すぐに揃うよう合わせてくださるんです。」
「優希ちゃん…」
「あ、麻里絵先輩決まりました?呼びますね〜」
あんまり私のことを話さなくていいと言おうとしたけど、上手くかわされた。
そして晃くんは、取り皿に適当につまみを盛り付けて、
「空きっ腹に酒は良くないですよ?」
と渡してくる。
「あ、ありがとう。」
アラサー女に慌てふためく二人って絵ができてしまっていることに、どうしたものかと考えていると…
「ほら、カシス烏龍来ましたよ?間宮さん。」
しれっとしているヒジオに腹が立つけど、何も言えず、つまみを口に運んでは、グビグビと飲んでいた。